もう一度、君と初恋を。
…ほんと、タイミングが悪い。
俺は教室の外へ行き、誰もいないところまで移動した。
「…もしもし。」
「友希!ごめんね、電話しちゃって。なんか話したい気分だったの。」
──加奈は、俺の彼女だ。
俺が引っ越してから、向こうの高校で出来た彼女。
俺に告白してくれた時、もちろん断ってやろうと思っていた。
けど、どうしても朱莉のことを忘れたくて、とりあえずオーケーした。
最初はすぐ別れるかと思ったけど、朱莉のことを少しずつ忘れていって、そして加奈のことを少しずつ好きになっていってる気がしていた。
だから俺がこっちに戻るって決まった時も、別れるなんてことはしなかった。