【短編】井上さんの毛先が今日も
興味ないわけじゃない。
井上さんのことが気にならなかったら、きっと参加してたかもしれない。
誰の胸が大きいか、とか、誰のパンツが何色だとか。
井上さんにこの会話を聞かれたら絶対嫌われるし、いやそもそもちゃんと話したことなんてないから、嫌われてるも何も僕の存在に気付いていないかもしれないし。
ううん、それはない。プリント配るとき、毎回「川澄くん」って呼んでくれるから。
でも─────。
好きだけど、バレたくない。
いや、バレたい。
気持ち悪いと思われたくない。
好かれたい。
気に入られたい。
だけど器用にできない。