最後の雨音は白い夜に消える
ふたつめの夢
☆★☆★☆★☆★☆★☆★
気づけば、夜になっていた。
さっきまで昼だったのに、さすが、夢だ。
かくかくとした世界は、いつの間にか、学校の屋上に変わっている。
夜の屋上。
ここには、私が、流星群が見たいと言ったら、連れていってくれた。
満天の星降る夜。
私たちは、ピクニックシートの上で、寝ころがった。
頭が痛い。と不満を言って、腕まくらをしてもらった。
星々がささやいているような、夜だった。
「ほんとの優しさは、夜にある」って、何かの本で読んだ引用を、教えてくれたけど、
そんなのキャラじゃないから、笑っちゃった。
でも、今は、確かにそうだと思える。
私は今、確かに優しい夜の中にいる。
辛い現実を、置き去りにして。
あの時、二人で奏でた鼻唄の題名は、なんだったろう。
『哀しみは、いつしか空にのぼって、小さな星になる。
苦しみは、いつしか天をわたって、眩しい星になる』
二人なら、この先もずっと幸せだと信じられた。
夜空を見上げる。
永い年月をかけて、重なった輝き。
長い歳月を越えて、連なった瞬き。
私は、なんてちっぽけなのか。
私を押し潰そうとする悩みなんて、本当は、なんでもないのかもしれない。
星座をなぞる。
教えてもらった形は忘れたけど。
星空をなぞる。
涙はそれでも、こぼれたけれど。
星々をなぞる。
理由なんてなくても、
見えてくるものが、あるかも知れないから。
★☆★☆★☆★☆★☆★☆