癒しの魔法使い~策士なインテリ眼鏡とツンデレ娘の攻防戦~
事件の犯人である毅は、シンナーの使用量を誤り、脳に重い障害が残りそうだ、と警察が教えてくれた。

病院に運ばれる途中に痙攣発作を起こした毅は、事件の前後の記憶が曖昧になっているらしい。

゛誰かに金を貰って頼まれたかも?゛

と、それ以上のことは答えられないらしい。

こちらも真相は闇の中だが、彼は十分に身体的な制裁を受けているといえるだろう。

遙季が医療センターに通うことになった日の1週間後、若菜は学園を突然退学していた。

半月ぐらいが経過して、トラウマ克服の一貫として、若菜に対峙しようと考えて行動したのに、

「最近、中村さん、いつもビクビクしていて少し変だったんだよね。突然退学して私達もビックリだよ」

と彼女の同級生から聞かされ驚くことになった。

遙季の推測だが、若菜はきっと、光琉のことが好きだったんだろう。

若菜はどこかのお嬢様らしいのだが、少し脅そうと思って毅を雇ったが、流血騒ぎの障害事件を起こされてビックリしたというところか?

方向性は間違っているが、光琉と遙季を引き離すという当初の目的は達せられたのだから、一部分は満足しているであろうとも予測できる。

しかし、彼女も自分のしたことの大きさに耐えかねて縮こまっているに違いない。

゛今度会えたら、私は心配いらないと伝えたい゛

雅祥に心を救われた遙季は、容疑者の若菜をも心配する余裕を身に付けていた。

可哀想なのは光琉だけ。

何も知らずに遙季に距離を置かれた光琉だけが、遙季に振り回されることになったのである。

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