癒しの魔法使い~策士なインテリ眼鏡とツンデレ娘の攻防戦~
翌年、光琉は予定通り、学費免除の特待生で国立M大学医学部に入った。

安心した遙季は、4月から再び電車通学を始めた。

光琉のいない学園生活は、思いの外、気を張る必要もなく自由で楽しかった。

後は志望校に受かるだけ。

そう、県外のK大学。国立M大学の同系列学部よりもかなり偏差値が高いため相当勉強しなければならなかった。

両親にだけは、県外の大学に進学したいと話したところ、学費免除の特待生になれば許可する、といわれ猛烈に頑張った。

もちろん、光琉には内緒だ。

光琉はM大学に進学してくると信じて、休みには勉強を教えてくれたりしていた。

遙季は罪悪感を抱きながらも

゛光琉を傷つけないためには、自分が側にいてはいけない゛

と、あの事件の日に自分を責める光琉を見て、半ば思い込みレベルで確信していた。

そのためにはどんなずるい人間にでもなる。

そうして人生一番の大嘘を突き通し、遙季は光琉の側を離れたのだった。

特待生のため、退学や編入ができない光琉の退路を塞ぎながら。
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