癒しの魔法使い~策士なインテリ眼鏡とツンデレ娘の攻防戦~
「ねえ、どこに行くの?」

もう20分も車で走っているのに、目的地がさっぱりわからない。

車の中は密室だ。こうなった以上、光琉に連れ去られるしかないと、遙季は諦めを感じていた。

光琉は無表情で、ずっと前を向いて運転を続けている。

「今日は、梨々香と悠生と約束があったんだけど」

遙季がため息をつくと、

「俺が断っといた」

と言って、光琉はニヤリと口角をあげた。

「何勝手なことしてんの?」

「お前らは6年間充分一緒にいたろ?いい加減、二人を解放してやれよ」

すべてを見透かすかのような光琉の言葉に、遙季はぐうの音も出なかった。

そう、悠生と梨々香は高校時代から想い合っている。

地元に帰ってきた今、二人は今も同居しており結婚も秒読みだろう。

「どこまで話してんのよ、馬鹿悠生は」

「お前のことなら全部」

「ど、どういう意味?」

「さあな?」

光琉は意味深な笑いを浮かべた。


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