癒しの魔法使い~策士なインテリ眼鏡とツンデレ娘の攻防戦~
「着いたぞ」

たどり着いたのは、海浜公園に隣接する丘の上の駐車場で、M市では、夜景が綺麗な場所として有名なデートスポットだった。

「昔ここに来たいって言ってたろ?やっと連れて来られた」

4月の海はまだ肌寒い。2人は外には出ずに、車の中から夜景を眺めた。

゛いったい何年前のことを言ってるのよ゛

高校3年生の受験前の冬休みに、光琉から勉強を教わりながらそんなことを言った気がする。

『受験に合格したら何度でも連れていってやるよ』

そう言って笑った光琉に

゛そんな日はきっと来ないけどね゛

と、遙季は罪悪感を覚えていたことを思い出した。

「8年だぞ、わかってんのか?」

光琉は、シートベルトを外して助手席の遙季を抱き締めた。

「や、やめて」

「嫌だ」

光琉は顔をあげると、遙季に隙を与えないまま、唇を奪った。

軽めのバードキスが徐々に深めのフレンチキスに変わっていく。

舌や唇を探るようなカクテルキスへと変化していったとき、遙季はうっとりしてしまった自分に気づき、光琉を押し退けようとした。

「い、いや、光琉,,,」

潤んだ目で見上げる仕草が光琉を煽ることを、遙季は知らない。

抵抗も虚しく、再度、光琉は遙季の唇を奪う。

そのうち、お互いに何もわからなくなってキスを交わし合っていた。

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