癒しの魔法使い~策士なインテリ眼鏡とツンデレ娘の攻防戦~
「だったら、お薦めのフレンチがあるんだ。そこでいいか?って、もう予約してるんだけどな」

ニコニコと満面の笑みを浮かべる光琉に、遙季はコクンと頷いてみせた。

「意外とあっさり受け入れるもんだな。さっさと唇奪っときゃ良かったのか,,,?」

「光琉、独語がデカイよ」

顎に手をあてて考え込む光琉に、遙季が突っ込みを入れる。

「やっと1歩、いや10歩くらい前進したんだ。喜びに浸らせてくれよ」

お店に向かう車の中で、二人は久しぶりにフランクに会話をしていた。

結局、あの事件の真相はわからないままだ。

だからこそ、遙季は光琉を避け続け、同じことが起きないように自分を守ってきたのだ。

゛もう、それも止め時なのかな゛

職場が一緒になってはもう逃げられない。

すべてを知る雅祥が光琉を採用したのには、きっと何かしらのメッセージが含まれている。

遙季は、ようやく自分と光琉に向き合う勇気を持てそうな気がしていた。
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