癒しの魔法使い~策士なインテリ眼鏡とツンデレ娘の攻防戦~
「えっ、遙季は帰ってないんですか?」

隣の家の玄関のインターホンを押すと、中から遙季の母親‐祐子が出てきた。

「そうなの。光琉くんと一緒だとばかり思っていたんだけど違ったのね」

祐子が首をかしげていると、リビングの電話が鳴る。

「光琉くん、ちょっとごめんね」

祐子がリビングに行くのを見て、光琉は嫌な予感がして追いかけた。

勝手知ったる他人の家だ。祐子も何も言わない。

「はい、雪村ですけど。はい、はい,,,えっ?遙季が、ですか?」

祐子の言葉に光琉も固まる。

「,,,わかりました。すぐに伺います」

ため息をつきながら祐子が受話器を置いた。

「遙季は?」

「シンナー中毒の男に刺されたみたい。幸いお友達に助けられて腕だけですんだみたいだけど、病院で手当てしてるって」

光琉は目の前が真っ暗になった。

あんなに大事に守ってきたはずなのに,,,。

「病院、僕も一緒に行かせてください」

光琉は祐子と一緒にタクシーに乗り込んだ。
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