癒しの魔法使い~策士なインテリ眼鏡とツンデレ娘の攻防戦~
真っ黒な空に銀色の月が光っている。

ベッドから見える景色は、曖昧な海と空の境界線をしっとりと窓に映し出していた。

「光琉はもうとっくに私のこと嫌いになってるって思ってた」

遙季は光琉の胸に顔を埋めた状態でそっと呟いた。

「鈴村先生が約束を守れば医療センターに雇ってくれるって確約してくれてたからな。ゴールがあるから頑張れた」

光琉は遙季の頭をゆっくりと撫でた。

「正直、頭にきてたし、もしかしたら他の誰かを好きになれるかもって思った。だけど実際は遙季のこと忘れられなかったし、会えばまた好きになった」

確かに、年末年始は遙季は実家に帰っていて顔を合わせることもあった。

それに、夏休みや冬休みになると、光琉は時間を見つけては遙季に会いに来ていた

何故か、悠生と梨々香も一緒だったから、渋々だけと日帰りで出かけることもあった。

「あいつらを買収してて良かったよ」

「えぅ?悠生と梨々香もぐるだったの?」

「当たり前だろ」

光琉はにやっと笑った。


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