癒しの魔法使い~策士なインテリ眼鏡とツンデレ娘の攻防戦~
遙季は、怒ったように地面を蹴りながら休憩室に歩いていくと、足を組んでコーヒーを飲む光琉の背中を叩いた。

幸い、休憩室には誰もいない。

「光琉、いい加減にして。仕事以外は、私に関わらないでって言ったでしょう?」

遙季は唇をギュッと噛み締めて言った。

「俺は約束してない」

光琉はスマホを持ち上げ、我関せずといった感じで画面をスクロールしている。

「もう、あんな思いはしたくないの!」

遙季が吐き捨てるように言う。

「周りも大人になってるんだ。それに俺も十分我慢してきたつもりだ」

睨みつけるように、光琉が遙季に視線を寄こす。

遙季は視線を反らすと

「もういい」

と、ロッカーからバッグを取り出し、休憩室を出ていった。
< 6 / 86 >

この作品をシェア

pagetop