癒しの魔法使い~策士なインテリ眼鏡とツンデレ娘の攻防戦~
「雪村さん」

就業時間になり、遙季がタイムカードを押して職員入り口から出ると、玄関のところで努に呼び止められた。

「話したいことがあるんだけど、(カフェバー)ハルキに来てもらっていいかな?」

突然の誘いに驚く遙季は、

「でも、婚約した身で男性と二人で飲むわけにはいかないので,,,」

と、やんわりと断りをいれた。

「どうしても耳に入れておきたいことがあるんだ。聞かないと君は後悔する」

「いったい、なんの話ですか?」

「八代くんのことだよ」

遙季は僅かに動揺を見せたが、心理学を学んだものとしては、ここで16歳の頃の二の舞を踏むわけにはいかない。

「悠生や梨々香に聞かれてもいいんですか?」

「隠しても君は彼らに話すだろう?だから僕は構わないよ」

余裕を見せる努に、遙季はおとなしくついていくことにした。
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