癒しの魔法使い~策士なインテリ眼鏡とツンデレ娘の攻防戦~
「とんだ茶番だな。加藤」

光琉に腕を捕まれた努。

「,,,っく、離せよ。雪村さんがこんな女だとは思わなかった!若菜を侮辱しやがって。彼氏が彼氏ならその女も女だな」

「お前こそ、ふざけんなよ。遙季を馬鹿にするなんておこがましいんだよ」

突き飛ばされて尻餅をつく努に駆け寄る若菜。

それを睨み付ける光琉の瞳は刃のように冷たかった。

「お前のやってることは逆恨み以外の何者でもない。中村さんを脅していいように操って、その上、遙季にまで手を出そうとして何がやりたいんだ。お前が傷つけたいのは俺だろう?何故正面から向かってこない?」

下から睨み付ける加藤は、ふんっと鼻を鳴らした。

「あんなに一途だった若菜を振って、こんな顔がいいだけがいいような女に現を抜かしやがって。大学の推薦が貰えそうな矢先に転校した若菜のそれからの人生がどうなったか、お前は知ってるのか?お前達に関わらなければ若菜の人生は順風満帆だったんだ。お前らさえいなければ,,,」

「違うでしょ!努。いつも言ってるけど、私が雪村さんを脅して怪我させたの。本当なら警察に行って自首して何らかの報いを受けるべきだったのに、逃げたのは私」

「だから、こいつらがいなければそんなことには,,,!」

「それが逆恨みっていうんだよ」

光琉の目はいつもの優しい精神科医の目でも、微笑みをたたえた策士の目でもない。

冷淡なただの男の目をしていた。

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