癒しの魔法使い～策士なインテリ眼鏡とツンデレ娘の攻防戦～

｢ほんと、素直じゃないですね。加藤さんも｣

クスッと笑った遙季に困惑した加藤が目線を向けた。

｢私を好きっていいながら、なんかおかしいなって気づいてました。今日の話を聞いてやっと確信がとれたんです｣

努の横でうずくまって泣いている若菜に手を差し伸べながら、

｢ああ、加藤さんは中村さんが好きなんだって｣

と遙季は言った。

｢ちょっと私が悪ぶってみたら本音を言うなんて、ヒールになりきれてませんよ。加藤さん｣

｢ごめんなさい、ごめんなさい｣

謝っては泣き続ける若菜を、遙季はそっと抱き寄せた。

｢加藤さん、これでも彼女が私達を恨んでいると思いますか？｣

震えて泣き続ける若菜を見て、努は項垂れて

｢２年前、雪村さんが大学を卒業して鈴村医療センターに入職してきただろ？その時からまた、若菜の笑顔が消え始めたんだ｣

と、言葉を繋ぎ始めた。