冥界の王子様
ショッピングモールでアイリに会ったとき
急激な後ろめたさを感じた。
友達でも恋人でもなく
“知り合い”といってしまったのも
玲奈のことなんか考えないで
アイリを傷つけないことでいっぱいいっぱいだった。
いや、そんなの言い訳で
俺はアイリからこれ以上嫌われぬよう
自分を守って居ただけなのかもしれない。
「お前は幸せになる権利なんかない
お姉ちゃんのこと殺したんだから」
そう耳元で言われたとき。
まだアイリは苦しんでるのだと感じた。
きっとマリが居なくなって孤独で寂しくて
本当に取り返しのつかないことをしてしまった過去
忘れることのできない
一生の。
その時感じた。
もうレイナといれる時間は少ないのかもしれないという不安。
流石にレイナの発想には驚いたけど
一週間ほど誰も知らない遠くの場所で過ごした時間は
今までにないほど幸せだった。