冥界の王子様
マリの手術が決まった夜。
なぜか「絶対大丈夫!」という根拠のない自信でいっぱいだった。
それからはマリの意識が戻ってからの事ばかり
考えるようになって
頭の手術するのなら
帽子がいるし買いに行こう
と看病の事を考えて買い物に行く事にした。
この時俺は目を覚ましたマリを喜ばせる事だけを考えていた。
さっそく帽子を探しに行き、
キャップよりニット帽かとか、
ニットはチクチクするからなんて考えて、
綿で出来た帽子を探して買い
買い物が済んで、帰ろうとした時に
街中を歩く女の子を見てると、
自分が現実から少しズレた場所にいるような気がして
妙な不安を感じた。
その日もマリの容態は良くなることなく
心も体も鋭利な刃物で切りつけられたかのように
ズタズタになっている俺は狂いそうだった