冥界の王子様




次の日の昼前


医者に呼ばれて

病状の説明を受けるとの事だった




あれほど緊張した事は今までにない。


部屋に入って医者の顔色を見てみると

どっちともとれない無表情な顔で喋り出した




病状はよくなるどころか病院に運ばれた時点で
すでに手遅れ。


どうやら今治療をしている様に見えるのは、

家族に心の準備をさせる為に

無理やり心臓を動かして、

体だけ生かして少しずつ
悪い方向へ持っていくというものだった。





なぁ。マリ。

俺を置いてどこに行っちまったんだ





どうしたらいいかわからないこの現実を

受け止めるのに必死だった。





街中であれだけ涙を流して大声で泣いたのは初めてだ




ちょうど涙が枯れた頃、病院へ戻った。








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