冥界の王子様






俺は1日のほとんどをその部屋ですごすようになった





話かけると声が届いてるような気がして



もう叶わないとわかっているのに話し掛けた。



そして夜が明けて医者と看護婦が入ってきて

今まで規則的になっていた心拍数を表示している
機械に異変が見られるようになった。




約1時間ほど経った後、

そのまま静かに心臓が停止。

隣にはまだ幼さの残るアイリの泣き声だけが聞こえてきて、

覚悟はしていたものの、本当にこうなった事が信じられなかった。






医者の何時何分とかっていう声に現実に引き戻された。



握っていたマリの手は
しばらくしてスーっと力が抜けていき

俺は大切なものを失った。





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