冥界の王子様






「レイナちゃんなら


リクを変えてくれるって。



そう思ったんだよ」





「え?」







「リクの過去。」






「聞きました。

荒魔照に取り押さえられた時に。


交通事故の話も。



知ってたんですよね?みんな」







「いや、知ってたのは俺とリクだけ」







「なんで、なんで言ってくれなかったんですか?」






「俺はりくに口止めされてて。

自分から話したいって。



リクは嫌われるのが怖かったんだと思う。


レイナちゃんのことそれくらい大切なんだよ」





じゃあなんで、なんであの時選んでくれなかったの。



私アイリさんのせいで捕まえられたのに。




そう喉にまで出かかったが


ここでムキになっても過去は変わらない。




そう。


時間は確実に過ぎていた。







「あいつ。人の愛し方がわかんねぇんだよ…」





「愛し方?」







「あいつが愛されてこなかったから。」














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