冥界の王子様
私たちは久しぶりに2人になった。
リクの過去。
アイリさんのこと
お母さんの過去のこと
そして荒魔照につかまった日のこと
私の中にはまだ消化しきれてないモヤモヤがたくさんある
なのに、
向き合わなきゃいけないってわかってるのに
話す勇気が出ない。
この沈黙を破ったのはリクだった
「俺。後悔してるんだ。
マリを1人で帰したあの日をずっと」
やっぱり、リクの中にはまだマリさんがいる
わかってたことなのに心がズキっと痛む
「それから、大切なものを失うのが怖くて
大切な人が近くにいたらいつか失う気がして
もうあんな思いはしたくなくて。
だけど、俺は加害者にもなった
あんな思いしたくないとか
俺が言えるようなことじゃないってわかってる。
俺が体験した辛い思いをレイナにもさせた
しかも俺のせいで
本当にすまなかった。」
目の前で頭を下げるリク。
リクも辛い思いをしたはずなのに
お母さんを亡くした傷が大きくて
リクを受け入れようとしてるはずなのに
心の中は許せない気持ちもあって
複雑だった。