冥界の王子様
「私がお母さんの子供っていつ知ったの?」
リクが私に向けてくれた優しさは
本物だったのかな、
それすら疑ってしまう私は…
「それをスグルから聞いたのは
レイナが始めて倉庫に来た日。
俺はまさかと思った。
話さないといけないのもわかってた。
だけど、俺の中でレイナは…」
言うのをやめた。
開けてはいけないパンドラの箱。
お互いにそれがわかった。
視界が曇り
リクの顔がぼやけてる。
見つめ合う私たちの中に同じ思いを感じた。
被害者であり加害者でもあるリク。
だけど私との関係は被害者と加害者。
だから私はリクを許すことができない。
だってお母さんすごく辛そうに死んでいったから。
お父さんもあれから変わってしまって
そのせいでわたしの中にはたくさんの傷が残った
でも、その時わかった。
やっぱりリクの優しさは
罪滅ぼしなんかじゃなかったんだなって
それがわかっただけでも
嬉しかった。