冥界の王子様
「ただいま」
久しぶりのおうち。
久しぶりどころじゃないか
一年と数ヶ月ぶり。
鍵は変わってないのか…
そう冷静に思いながら
なかにはいった。
薄暗く掃除がされてないリビング
「……お父さん?」
「あぁ。レイナか。」
衰弱しきってて弱々しくなった父親の姿は
いまだかつてない姿だった。
「あいつ、子供連れて出て行ったんだ。」
「え?」
「捨てられたんだよ!!!」
久しぶりにきくお父さんの怒鳴り声は
どこか寂しく切なかった。
きっと私がいなくなってから
お父さんの寂しさや
お義母さんの苛立ちはお互いに向けられ衝突した。
前の私ならこの衰弱したお父さんに
ざまあみろとか思ったのかもしれない。
だけど今私の心はどこか満たされていて
お父さんを冷静に見ることができた。