冥界の王子様




溢れる涙がやっと止まった頃にはもう夜になっていた。




今まで溜めてきたことを全部吐き出した。





泣きじゃくりぐしゃぐしゃになりながら。





ほっとする気持ちと


これからどうしたらいいのかという不安と




りくさんは相槌を打つこともなく

隣で静かに聞いてくれた





それが心地よかった


独り言のように話せたから。






「すみません、こんなこと…」




話しすぎちゃったかな。




「辛かったな…」




そんな心配をよそに

何も言わないでいたリクが口を開いた。




「…え?」




しかも。

気持ちに寄り添ってくれたことに驚いた





「でも。

生きたくないけど死にたくもない。

これは究極のわがままなのかもしれない

まだ選択できるだけ恵まれてるのかもしれない。




辛くても生きろ。




絶対生きててよかったと思える日が来る。

生きてれば、きっと」





その強くたくましい言葉をきっかけに

私の人生は変わりはじめた。






< 24 / 223 >

この作品をシェア

pagetop