冥界の王子様




目がさめたとの報告を受け

見に行くと申し訳なさそうにしている玲奈がいた。






守りたい、



力になりたい



俺は無意識のうちにそう思って抱きしめていた






柄でもないが隣に座り

ひたすら玲奈の話を聞いた。




小さい頃からこの世界で育ち
裏社会で生きてきた俺。



親に見捨てられたり

友達に裏切られたり

いろんな奴がいた





でも、玲奈の訴えは俺の荒んだ心に

ひどく突き刺さった





どれほどの我慢をその小さな体でしてきたのかと

初めて会った時には予想もつかなかった過去だった






母親が死んでて父親が愛情を注いでくれない



俺と近しい境遇。





必死に表社会に生きた玲奈と

向き合うことを恐れて裏社会で生きた俺。




それは全くの別物だ。





裏社会に生きてることを不満に思ったこともない






そうあいつらがいるから。

あいつらは俺が存在してることを認めてくれてる。





仲間がいたら強くなれることを知った





だから


だからおまえも強くなれ



俺はそれまで絶対おまえを離さない



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