冥界の王子様




コンコン


「お待たせしました」




「あぁ。」




リクは待ちくたびれたと言うわけでもなく

ただ車にエンジンをかけ車を走らせた。




男の人と2人っきり

そして助手席。

なんか、とても不思議な気分。




もしかしてここにはリクの彼女とか座ったのかな。



リクモテるもん。そりゃそうだよね。


でもなんか心がもやもやする。





ていうか、私座っちゃっていいのかな、







行きとは何か違う重々しい空気感が

私の不安を大きくさせた




「なぁ、」



その空気を変えるかのようにリクは口を開いた





「…どうしたの?」








「どっか遠くに…いかないか?」












リクの弱々しく寂しそうで辛そうな表情




「うん」



私には頷くことしかできなかった。




この時もっとリクに向き合ってたら


あんなことにはならなかったのかな



< 76 / 223 >

この作品をシェア

pagetop