【最愛婚シリーズ】クールな御曹司の過剰な求愛
部屋に戻ってもぼーっとしてしまう。バッグを床に放り出すとソファに座って手元に抱いたペンギンを抱きしめた。
そして再生ボタンである左手をぎゅっと握る。
「スキダヨ。エマ」
「ああ、どうしよう」
再生される彼の声が、胸をドキドキさせる。痛いくらいなのにそれでももう一度再生ボタンを押してしまう。
何度も何度も彼の声を聞く。
ゴロンとソファに寝転がったわたしは、より強くペンギンを抱きしめ思わず足をバタバタとしてしまう。
うれしいような、はずかしいような、むずがゆいような、苦しいような。
彼の言葉ひとつで、いろんな感情が沸き起こってくる。
わたし、神永さんのこと好きだ。本当に好きなんだ。
どうしよう、どうしたらいい?
久しぶりの恋心に戸惑いながら、甘い苦しみにその日一日中耐えなくてはいけなかった。