【最愛婚シリーズ】クールな御曹司の過剰な求愛

そして十六時頃。

他のお客様とのアポイントをすべて終えたわたしは、帰り道にあるエスポワールに立ち寄った。

みなさんが忙しそうにしていれば、いつも挨拶だけして帰ることにしているので今日もそのつもりだった。

しかし運よく坂上さんが対応してくれたので、神永さんがいらっしゃるかかどうか確認した。
顔だけでも見られたらなぁ。

ちょっとよこしまな考えが頭をよぎる。

「いるにはいるんだけど、新しくうち限定のウエディングドレスをつくってくれるデザイナーさんと打ち合わせしているわ。ほら、あそこ」

オープンスペースで真剣な顔をしている神永さんを見つけた。

その向かいには――ものすごく綺麗な女性が座っていた。

色が白くて肩までのフワフワとした髪、それとクリッと大きな目をしていて、まるで妖精のようだった。

透明感のある彼女が笑うと、まるでまわりに花が咲くような感じだ。

彼女につられて神永さんもふんわりと笑う。そして何気なく手を伸ばし彼女の頭を撫でたのだ。
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