【最愛婚シリーズ】クールな御曹司の過剰な求愛
洗面台に手をついて「はぁ」と大きく息を吐いた。息を吐ききった後、顔を上げるとひどい顔色の自分と目が合う。

がむしゃらに仕事をしていれば、考えても仕方のないことをいつまでもグジグジ考えないですむ。

そう思っていたけれど、そうも簡単な話ではなかったようだ。

結局のところ、仕事以外の時間の多くを神永さんのことを考えるのに費やしていた。

どうして、あんな思わせぶりな態度をとったんだろう?

わたしが勝手に勘違いして、舞い上がっただけ?

水族館、楽しかったな。神永さんも楽しんでくれていたと思ったのに、違うのかな?

考えても考えても答えが出ない。

結局のところ自分がどうしたいのか、どうするべきなのかわからなかった。

だからこそ、彼への連絡も一切とることができずに、研修の前から数えると三週間以上間が空いてしまっている。

それまでが課長にせかされていて連絡の頻度が多かったので、ずいぶん長い間彼の声を聞いていないような気がする。


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