【最愛婚シリーズ】クールな御曹司の過剰な求愛


鏡の中の自分とにらめっこしていると、扉が開き芽衣子さんが入ってきた。そのまま鏡越しに目が合う。

「恵麻、大丈夫なの?」

「え? 何がですか?」

自分がひどい顔をしているのはわかっているし、それに聡い芽衣子さんが気づいていないわけはない。

けれどそれを認めてしまうと、すべて打ち明けてしまいそうだ。

自分でしか解決できない話なのだから、強がりでも「大丈夫」ということにしておきたい。

しかし芽衣子さんは追及の手を緩めない。

「それって、わたしに神永さんの担当を代わってほしいって言ったことと関係しているの?」

ズバリ言い当てられて、目が泳ぐ。

こんな状態で神永さんの担当を続けていくのは、無理だ。

彼もわたしの提案に魅力を感じていないのだから、先輩である芽衣子さんにお任せした方がいい。

と、いうのは建前で、本音のところはプライベートな事情――ほとんどわがままと言えるお願いだ。

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