【最愛婚シリーズ】クールな御曹司の過剰な求愛
彼に釘付けになったわたしを、目の前にいるお客様が心配そうに見ている。

「尾関さん、どうかしたんですか？」

城崎さんの声で、我に返った。

「いえ、なんでもありません」

すぐに立つことができずに軽く会釈をすると、彼はこちらに来ることもなくすぐに待合のソファに座った。

それに気がついたひよりちゃんが、すぐにカウンターから出て神永さんの元に向かう。

一言、二言、会話を交わした後、ひよりちゃんが戻ってくる。

神永さんはソファに座ったままだった。そのまま彼女はわたしの元に来た。

「ちょっと失礼します」

お客様にお待ちいただき、ひよりちゃんの話を聞く。

「ご用件を窺ったんですが、尾関さんを待つということでして」

「そう……まだ時間がかかりそうだから、芽衣子さんがいたら降りてきてもらって接客してくれるようにお願いしてもらえる？　担当交代の予定なの」

「わかりました」

ひよりちゃんはすぐに内線で電話をかけて、芽衣子さんの在席を確認するとこちらに来てもらうように伝えていた。
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