【最愛婚シリーズ】クールな御曹司の過剰な求愛
「あ～あ。そんなかわいいこと言われたら、仕事に行けなくなる」

わたしの髪に顔をうずめて、彼の腕が力いっぱいわたしを抱きしめる。

「それは困ります。待っていますから気をつけて行ってきてください」

彼の胸を両手で優しく押すと、少し距離ができた。

わたしは顔をあげて彼を見上げると、そっと背伸びをして彼にキスをした。

最初は驚いた顔をした神永さんだったが、すぐに手のひらで自分の目元を覆った。

「かわいすぎるんだけど。本当に仕事に行けなくするつもり？」

見れば耳がわずかに赤い気がする。

いつもはわたしがからかわれて、恥ずかしい思いをしているのですごく新鮮だ。

「帰ったら覚悟しておくといい」

甘くて……そしてちょっと怖いセリフを残して、彼はキスひとつ額にして空港へ向かった。
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