【最愛婚シリーズ】クールな御曹司の過剰な求愛
それから五日後。
思ってもみなかった事態が起こった。
その日の後場(ごば)が始まってすぐのこと。お客様と電話をしていたわたしのところに店頭の受付を担当する後輩の赤城(あかぎ)ひよりちゃんが慌てた様子でやってきた。
早く電話を切ってほしいというジェスチャーをされたので、先方に要点だけ伝えて電話を置くとぐいっと顔を近づけてきて「大変です!」と言った。
「な、なにが大変なの? 何かあった?」
発注ミス?? 新人のころからそれだけは気をつけてきたのに。
嫌な予感がよぎって、背中にじんわりと汗をかく。
「早く店頭に来てください。尾関さん宛てに超イケメンが訪ねてきています」
「イケメン!?」
わたしよりも早く、目の前の席に座る芽衣子さんが反応する。
「は? なんだそんなこと――」
よかった。発注ミスじゃなかったんだ。始末書どころか証券事故まで想定していたわたしは、胸をなでおろした後、やっとひよりちゃんの言葉が頭に入ってきた。
超、イケメン?? お客さんの顔を何人か思い浮かべ思案するわたしを見て、ひよりちゃんはじれったそうに言った。
「神永さんって、おっしゃる方なんですけど」
「神永さんっ!」
わたしはその名前を聞くと、はじかれたように立ち上がった。そしてそのまま店頭へ向かう階段を一気に駆け下りた。
「尾関さ~ん。二番応接室が空いています」
わたしの後を必死でついてくるひよりちゃんからの声が聞こえたころには、一階に到着して息を整えていた。
思ってもみなかった事態が起こった。
その日の後場(ごば)が始まってすぐのこと。お客様と電話をしていたわたしのところに店頭の受付を担当する後輩の赤城(あかぎ)ひよりちゃんが慌てた様子でやってきた。
早く電話を切ってほしいというジェスチャーをされたので、先方に要点だけ伝えて電話を置くとぐいっと顔を近づけてきて「大変です!」と言った。
「な、なにが大変なの? 何かあった?」
発注ミス?? 新人のころからそれだけは気をつけてきたのに。
嫌な予感がよぎって、背中にじんわりと汗をかく。
「早く店頭に来てください。尾関さん宛てに超イケメンが訪ねてきています」
「イケメン!?」
わたしよりも早く、目の前の席に座る芽衣子さんが反応する。
「は? なんだそんなこと――」
よかった。発注ミスじゃなかったんだ。始末書どころか証券事故まで想定していたわたしは、胸をなでおろした後、やっとひよりちゃんの言葉が頭に入ってきた。
超、イケメン?? お客さんの顔を何人か思い浮かべ思案するわたしを見て、ひよりちゃんはじれったそうに言った。
「神永さんって、おっしゃる方なんですけど」
「神永さんっ!」
わたしはその名前を聞くと、はじかれたように立ち上がった。そしてそのまま店頭へ向かう階段を一気に駆け下りた。
「尾関さ~ん。二番応接室が空いています」
わたしの後を必死でついてくるひよりちゃんからの声が聞こえたころには、一階に到着して息を整えていた。