【最愛婚シリーズ】クールな御曹司の過剰な求愛
***

「恵麻ってば、聞いてるの?」

「えっ? あ、はい」

芽衣子さんの声で我に返る。仕事中なのに他のこと考えてしまうなんて!

「と・に・か・く! うちの課の数字の達成とわたしの将来もかかってるんだから。ちゃんと神永社長落としてきなさいよ」

本気なのか冗談なのかわからないけれど、強く念押しされてしまった。

向こうが本当に取引するつもりがあるのか、はたまた……わたしをからかっているだけなのかきちんと見極めなくては。

でも……もしわたしを〝からかっている〟のだとしたら、こんな手の込んだことをするのは一体何のためなんだろう。ただの暇つぶしにこんなに時間をかけるわけなどない。あれだけの規模の会社の社長なのだから、ただでさえ忙しいはずだ。

 考えれば考えるほど、神永さんの行動の理由がわからない。

 疑問を残したまま、わたしは目の前にある仕事に集中すべく頭を切り替えた。

< 22 / 138 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop