【最愛婚シリーズ】クールな御曹司の過剰な求愛
「あぁ……そのこと。俺のひと言で悩ませてしまったなら申し訳ない」
神永さんはペリエを一口飲むと、さっきの言葉の意図することを話して聞かせてくれた。
「君は、俺が知っている他の所謂〝証券マン〟とは違うから。彼らは良くも悪くも、『儲け』だけにこだわるからね」
それはわたしも理解できる。お客様が利益せば、またわたしたちの元で投資をしてくれる可能性が高い。それが会社の『儲け』に繋がる。
「わたしが他の人と違うと言うのはどういう意味でしょうか? 正直わたしもお客様の利益になるように努めていますけど……」
「それはよくわかっているよ。君が他の人と違うっていうのは、自分たちの利益を一番に考えるかどうかだよ。
今まで俺のつき合いのある証券マンは、数字に追われてその場しのぎの提案をしてくる人が多かったからね。
すぐにでも口座を作らせて入金させて、買い付けて……手数料が欲しいって、ギラギラしていた」
「まぁ、そういうタイプがいないとは言いませんけれど」
わたしの周りでも押せ押せで営業をする人も多い。たしかにそういう人は大きな契約ひとつで数字を達成することが多い。
しかしわたしは大切な資産を預かる以上、双方納得したうえで契約をしたいといつも思っている。だからコツコツと営業をするスタイルを入社以来通してきた。