【最愛婚シリーズ】クールな御曹司の過剰な求愛
「ごちそうさまでした。送っていただいてありがとうございます」

 デザートまできっちり食べ大満足のわたしを、神永さんが車で送ってくれた。

 自宅マンション前の車寄せに車を停めた彼に、お礼を言う。

「こちらこそ、楽しかった。次回はあのワンピースを着て食事に行きましょう」

「あ……はい」

 それって……また一緒に食事に行けるってこと?

 食事がおいしかったのはもちろんのこと、神永さんと話をするのが本当に楽しかった。ときどきからかわれるのだって、恥ずかしいけれど嫌じゃなかった。

 ダメダメ、そんなに期待したら。お客様なんだから!

 変な妄想をしてしまう前に、わたしはシートベルトをはずして車のドアを開けた。

「今日は本当にありがとうございました。次回は契約の程宜しくお願いします」

「ちゃっかりしているね。でも、まぁ。それは君次第かな」

「では、運転気をつけてくださいね」

 車から降り、バタンとドアを閉める。車内で手を振っている神永さんに合わせて私も手を振り返した。

 ゆっくりと車が発進した。わたしは神永さんの車が見えなくなるまでじっとその場で見送った。

 今日の楽しかった食事中に彼が見せた笑顔を思い出しながら。
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