【最愛婚シリーズ】クールな御曹司の過剰な求愛
「まずは元気になってください。お薬を飲むにしても何か口にした方がいいと思って、スープを作ったんですけど、食べられそうですか?」

「あぁ。実はさっきから良い匂いがしていて気になっていたんだ。いただけるかな?」

「はい。すぐ用意してきますね」

 わたしはすぐにキッチンに向かい、スープを温め直した。

 その間に食器棚をあさって、お皿とスプーンを用意した。

「あとは、お薬……昨日病院に行ったって言ってたけど――あった」

 キッチンのカウンターの上に薬の袋を見つけた。日付が昨日のものだから間違いない。

 すべてをトレーに乗せて寝室に戻ると、神永さんはベッドの上でタブレットを操作していた。

 ベッドサイドのチェストにトレーを置くと、それを取り上げる。

「こんなときぐらい、お仕事のこと考えないでください」

 タブレットを取り上げられた神永さんは最初驚いた顔をしていたけれど、すぐにクスクスと笑い出した。

「君を怒らせると怖そうだから、ちゃんと言うことを聞くことにする。それよりそれ、食べたいな」

 チェストにおいたスープの皿を彼が指さした。

「はい。お口に合うといいんですが……」

 トレーごと手渡そうとする。けれど神永さんは布団の中に手を入れたままでスープをじっと見ていた。

「はい、どうぞ」

 仕方がないので声をかけると、「え?」と不思議そうに返される。わたしもその反応に「え?」で返した。
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