【最愛婚シリーズ】クールな御曹司の過剰な求愛
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神永貴哉さんとわたしが出会ったのは、本当に偶然だった。
友達の結婚式がケイウエディングの式場で行われて、それに参列したときのことだ。
バランスを崩した新人のウェイターが、トレーに乗せていたウーロン茶をわたしにこぼしてしまったのだ。それも盛大に……全身に。
慌てて謝罪にきた責任者が、神永さんだった。
「お客様、申し訳ございません」
ずぶぬれになったわたしは、別室に案内されてそこでウェイターと神永さんふたりに頭を下げられていた。
「あの、大丈夫ですから。披露宴ももう終わりましたし」
渡されたおしぼりで濡れた顔をぬぐいながら、目の前に突然現れた眉目秀麗な神永さんに、一瞬見とれてしまっていた。
短く清潔感のある髪型、吸い込まれそうな黒い瞳。すーっと通った鼻筋に、品の良い口元。それに加え、チャコールグレーのスリーピースのスーツはおそらくオーダーメイドだろう。背も高くスタイルの良い彼を、より素敵に見せていた。
どこかで見たことがあるような気がするのはどうしてだろう。