【最愛婚シリーズ】クールな御曹司の過剰な求愛
「あの……笑ってますか? っていうか、笑ってますよね?」
「え、あ。うん。……っ、あはは」
とうとう耐えきれなくなったのか、人目もはばからずに笑い出した。
「ひどいですっ! わざとじゃないのにっ」
「ごめん、でもいつもはしっかりしてるイメージだったから、ギャップについ……っ」
チラッとこちらを見ると、また笑い出した。
「もう、行きますよ」
いつまでも笑われているなんて、なんだか悔しい。わたしは笑っている神永さんを放っておいて先に歩き出した。
「ちょっと、待って」
グイッと手を引かれ、そしてしっかりと握られた。
「そんなに急いでると、また転ぶ。今日は時間がたっぷりあるんだからゆっくり行こう」
顔を向けると優しい笑顔を向けられた。背後から照らす日の光のせいか、それとも彼自身がまぶしすぎるのか、わたしは彼を見ていられなくて「はい」と小さな声で返事をした。
わたしは彼の大きな手に引かれるようにして、水族館への道を歩いた。