家庭訪問は恋の始まり
翌日、土曜日。

私は6時に起きて、掃除を始めた。

9時まで頑張って、それから、着替えて化粧をする。

いつもは、子供しか見ないから、ファンデと口紅と眉くらいなのに、今日はちゃんとチークもアイシャドウもマスカラもつけた。

つけた後で思う。

私、何、張り切ってるんだろうって。

でも、少しでも綺麗に見られたいって思うんだもん。

これは、女子の本能だと思う。


10時。

携帯が鳴る。

「はい。」

『瀬崎です。
今、駐車場にいるんだけど、
今から行ってもいい?』

「はい。」

『何号室?』

「あ、105です。」

『了解。すぐ行く。』


ピンポーン

ほんとにすぐにチャイムが鳴った。

「はい。」

私が玄関を開けると、瀬崎さんが買い物袋を下げて立っている。

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