家庭訪問は恋の始まり
「どうぞ。」

私が言うと、

「もしかして夕凪、緊張してる?」

と聞かれた。

そんな事、聞かれても、正直に緊張してるなんて、言えるわけない。

「大丈夫。
何もしないから、安心して。」

瀬崎さんは、そう言うと、私の頭をくしゃっと撫でた。

「昼飯、作ろうと思って、材料買ってきた。
冷蔵庫、開けていい?」

「え!?」

私は固まる。

だって、見える所しか掃除してないもん。

「くくっ
開けない方がいいんだね。
じゃあ、これ、夕凪がしまってくれる?」

瀬崎さんは全てお見通しみたい。

うろたえる私を見て、楽しそうに笑う。

「それとも、冷蔵庫、掃除しようか?」

私はブンブンと首を振る。

「ダメです!
ぜぇったい、ダメ!」

私は瀬崎さんから袋を取り上げて、冷蔵庫に向かう。

「瀬崎さんは、座っててください。」

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