家庭訪問は恋の始まり
私は、食材を冷蔵庫にしまって、お茶を用意する。


「どうぞ。」

ダイニングテーブルに湯のみを置いて、私も向かいの席に座る。

「ここ、メゾネットなんだね。
女の子が1階なんて危ないって思ったけど。」

瀬崎さんはダイニング傍の階段を見て言う。

「そうなんです。
これなら、来客から寝室も見えないし、
下の人に気を使って生活しなくてもいいかな
と思って。」

「大丈夫? 覗きとか出ない?」

「はい。
これ、中が透けないレースカーテンなんです。
一応、防犯ガラスになってるし。」

「そうか。
色々工夫があるんだね。」

瀬崎さんは、少しほっとしたように言う。

「はい。」

私は返事をしながら、なぜか少し嬉しくなった。

なんでだろう。

瀬崎さんが心配してくれたから?


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