家庭訪問は恋の始まり
「いや、別に、いいと思うよ。
じゃあ、料理は俺の係ね。」

「え?」

「だって、苦手な事、やりたくないでしょ?」

それって、どういう意味?

将来の話をしてる?

結婚とか?

いや、いくらなんでも、まさかね。

「瀬崎さんは? 苦手な事、あるんですか?」

「んー、そうだなぁ、何にも出来ない奴と
ずっと暮らしてたから、だいたいできると
思うよ。
ま、あえて言うなら、洗濯とアイロン?
ワイシャツとかめんどくさいから、
全部クリーニングに出してるし、
他の洗濯物も、乾燥まで機械任せ。」

「そのくらいの手抜き、普通ですよ。
仕事しながら、家事をして、子育て
してるんですから。
つまり、瀬崎さんに弱点はないって事ですよね。
私の方が女子力なさすぎて、落ち込みます。」

はぁ…

「くくっ
ありがとう。」

瀬崎さんは嬉しそうに笑う。

「え? 何が、ありがとう?」

意味、分かんない。

「女子力なくて落ち込むって事は、俺に
好かれたいって思ってくれたって事でしょ?
すっごく嬉しいよ。」
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