家庭訪問は恋の始まり
瀬崎さんは、そう言うと、優しく私を抱き寄せる。

Tシャツ1枚の瀬崎さんの胸に頬が当たり、鼓動が伝わってくる。

ドキドキと忙しなく鳴り続ける鼓動。

こんな事しても余裕なんだと思ってたけど、違うの?

私と同じくらいドキドキしてるの?

すごく嬉しいかも…

私は、そっと彼のシャツの裾をきゅっと握った。



それから、どれほどの時間が経ったのか、しばらくしてから、彼はそっと腕を緩めて、私から離れた。

「ごめん。
そろそろ帰るよ。」

そう言う彼を私はそっと見上げた。

「もっと一緒にいたいけど、これ以上いると、
もっと夕凪に触れたくなるから。」

そう言われて、私は何も言えなかった。

だって、私も、まだ瀬崎さんの温もりに包まれていたかったから。

外は猛暑なのに…
部屋の中でも、ちょっと動けばすぐに汗ばむのに…
それでも彼に触れたいと思うなんて…

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