家庭訪問は恋の始まり
「捕まえた。」

瀬崎さんの腕がかっちりと腰に回され、逃げられない。

しかも、膝の上に座ると、背の高い瀬崎さんとも目の高さがほぼ同じになって、どこを見ていいのか分からなくなる。

「あの… 」

私は苦し紛れに口を開いた。

「何?」

「お料理は… 」

「後でね。」

瀬崎さんは、後ろで束ねた私の髪を指に絡めて遊ぶ。

かと思うと、その手がうなじに添えられ、
あっ…
と思った時には、唇が重ねられていた。

しっとりと押し当てられた唇は、そのまま啄ばまれる。

私は、瀬崎さんの背中のシャツをキュッと握りしめた。

すると、くちづけは更に深いものへと変わり、私の胸は早鐘を打つように忙しなく鼓動する。

私は、思わず、瀬崎さんの背にしがみ付いた。

今度は耳を食まれ、あられもない甘い声が漏れる。

それが自分でも恥ずかしくて、思わず口を手で押さえると、今度は首筋にキスを落とされた。

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