家庭訪問は恋の始まり
その日の放課後、私は初めて、嘉人くんのお父さんに連絡をした。

「嘉人さんの担任の神山です。
いつもお世話になっております。」

『こちらこそ、お世話になっております。
嘉人が何かしましたか?』

お父さんの低くて渋い声が、心配そうな憂いを帯びる。

「いえ、嘉人さんというか、お母さんの事
なんですが…
お父さん、今、お仕事中ですよね?
終わってからで構いませんので、ご連絡
いただけますか?」

話が長くなる事を想定して、そうお願いすると、

『今日は、残業で遅くなりそうなんです。
もし、よろしければ、先生の携帯を教えて
いただけませんか?
いつまでも学校で待ってていただくのも
申し訳ありませんので。』

と言われた。

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