家庭訪問は恋の始まり
「そうなんですね。
いいですよ。」

と私は番号を告げる。

『では、後ほど。
わざわざご連絡ありがとうございました。』

ふぅ…
電話を切って、私はため息を吐く。

できれば、こんな人の悪口みたいな連絡、したくはない。

だけど、家の中で嘉人くんを守れるのは、お父さんしかいないんだから、知ってもらわなければ…

私は、気持ちを切り替えて、翌日の授業準備に取り掛かった。

明日は音楽がある。

子供達が前を向いて歌えるように、歌詞を拡大コピーする。

その後、この学校は、低学年は教室で音楽をするので、教室のオルガンで伴奏の練習を始めた。

1年生の音楽、弾くのは簡単だ。

だけど、歌ってる子供の顔を見ながら弾こうと思うと、鍵盤は見られない。

その状態で自ら歌おうと思うと、歌いながら弾く練習をしないと授業はできない。

私は、教室でオルガンを弾き、歌う。

誰も見ていないからできるけど、客観的に見ると、1人カラオケ状態で、かなり恥ずかしい。
< 26 / 507 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop