家庭訪問は恋の始まり
口を尖らせた嘉人くんは、妥協案を提示する。

「じゃあ、明日も遊びに来ていい?」

ぷっ

まるで徒歩5分の近所のような言い方に、思わず笑みがこぼれる。

「嘉人くんも、ばぁばん家でご飯、食べてけば
いいのに。
みぃちゃんも今日は、ばぁばん家で食べるん
だよ。」

美晴もまだ遊びたそうだ。

すると、奥から、母が顔を出した。

「そうですよ。
何もありませんけど、よかったら、一緒に
召し上がってってください。」

だけど、瀬崎さんは、首を横に振った。

「いえ、正月早々に突然お邪魔して、そこまで
ご迷惑をおかけする訳にはいきませんから。
春、いい返事をいただけたら、
改めて参ります。
今日は、長々とお邪魔させていただいて、
親子共々、楽しませていただきました。
ありがとうございました。」

そう言って、瀬崎さんは頭を下げる。


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