家庭訪問は恋の始まり
母も私も、それ以上、引き留める事は出来なかった。

「さ、嘉人、夕凪先生の部屋、散らかした
ままだろ。片付けにいくぞ。」

瀬崎さんが、嘉人くんに声を掛ける。

嘉人くんは、不満そうにしながらも従おうとする。

「いいよ、そんなの。
後で私が片付けておくから。」

私が言うと、瀬崎さんは私の頭をポンポンと撫でて、

「くくっ
夕凪は片付け苦手だろ?
これは、嘉人と俺の仕事。
夕凪は見ててくれればいいから。」

と囁いた。

その瞬間、胸がキュンとうずく。

もっと触ってて欲しいと思うのは、いけない事だろうか。

私は、2人と一緒に部屋に行き、嘉人くんが片付けるのを眺めてた。

5分程で片付けを終えると、瀬崎さんは、

「じゃあ、帰るよ。」

と言った。

帰って欲しくない。
もっと一緒にいたい。

そう思う私の心は、ここに嘉人くんがいなければ、抑えられなかった気がする。

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