家庭訪問は恋の始まり
それくらい、私の中で、瀬崎さんへの想いが膨れ上がっていた。

私は玄関を出て、2人を見送る。

嘉人くんを助手席に乗せ、瀬崎さんは、私を見て言った。

「3日、何時に帰ってくる?」

「友達とランチして、お茶して、だから、
はっきりとは分かんないけど、主婦の子も
いるから、夜には帰るよ。」

「じゃあ、夜、会いに行っていい?」

嬉しい!

私は、黙ってこくんと頷いた。

すると、瀬崎さんは、私の顎を指先ですくい上げて、一瞬、かすめるようにキスをする。

「っ!!
瀬崎さん!」

私が囁くように抗議すると、

「大丈夫。
嘉人からは見えないし、何より、嘉人は
テレビに夢中だよ。」

と笑った。

確かに、嘉人くんはカーナビの画面から流れるアニメを食い入るように見ていた。

「もう!」

私は瀬崎さんの胸を抗議するように軽く叩く。

すると瀬崎さんは、その手を握って、私を引き寄せ、抱きしめた。

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