家庭訪問は恋の始まり
「とにかく、ちょっとでも何かあったら、
すぐに相談して。」

瀬崎さんが心配そうに言う。

「うん。ありがとう。
それより、嘉人くんは大丈夫かな?」

「嘉人?」

「先生ん家に行った、とか、美晴と遊んだ、
とか、言わないかな?」

言わない約束をしても、ぽろっとボロを出す事はあるかもしれない。

「言わないようには言っておくけど、万が一、
洩らすような事があっても、
スキー帰りに偶然会って、同い年の姪っ子と
意気投合して遊びに来たって、正直に
言えばいいと思うよ。」

「そっか。そうだよね。」

うん、別にやましい事は何もないし。

「学年主任さんが言うように、俺がここに
来てる事が、どこかから噂になるような事に
なっても、料理を習ってるだけなんだから、
堂々とそう言えばいい。
嘉人だったら、夕凪先生が僕のママになる
ために練習してるって喜ぶんじゃないかな。
誰かが嘉人を傷つけるような事を言っても、
嘉人は夕凪のために戦うと思うよ。」



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